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ULTRON 40mm

先日の撮影の際に、被写体さん(でありカメラマンでもある)と 少し話題に上がったのが「 Voigtländer 好きなんですよ」ということ。

Voigtländer 、フォクトレンダーである。



大元を辿ればオーストリア、ドイツのメーカーなのだが

今は日本のコシナがそのブランドを有してカメラ、特に最近はレンズを作っている。

余談だがZeissと組んで「ツァイス・イコン」というカメラを作った事でも有名だ。


コシナはその後ツァイスブランドを冠することを認められたレンズも作っている。

私が先日の撮影で使ったMilvusもこの1つだ。


ツァイスがある種、究極の光学性能を追求した高級・高性能レンズだとすれば

フォクトレンダーは少し色が違う。

究極の光学性能ではないが、適度に小型だったり、独特の色乗りだったり

どこかオールドレンズに近い郷愁の念を抱かせつつ、最新のカメラとの相性もいいように感じる。 (実際、最近はソニーのミラーレスマウント向けのレンズが多い)



さて、現在ニコンFマウント向けに出ているフォクトレンダーは2本

Nokton 58mm f1.4と、今回購入したULTRON 40mm F2 ASPHERICALである。



ASPHERICALとは非球面レンズのこと。収差が抑えやすく開放でも使いやすい。


ガラスモールドなど細かい製造技術の話は省くが

40mm F2というスペックから見ても、別段特別なレンズではない。


その分非常にコンパクトである。

いわゆるパンケーキレンズと言って良いだろう。


ちなみに同じフォクトレンダーのNokton 58mm f1.4は兼ねてより愛用している。


レンズフードや保護フィルターを付けているので(不格好だが)

Noktonが少し間延びした長さを感じるのに比べて

こうして並べてみると、裸のUltronはずんぐりとした印象を与えるほど短い。

また、カニ爪が付いていることもあり、なんともクラシックな印象だ。



クラシックなデザインだが、もちろん現行のニコン一眼レフFマウントに使える。

Fマウントに使えるということはFTZを使えばミラーレスのZマウントにも使えるのだ。

Z6に付ければさぞやコンパクトでいかにもパンケーキになるだろうと思ったが

やはりFTZマウントで嵩増しされた分、長くなってしまった。

小さい割に造りがしっかりしていてずしっと重く感じるので、やや前のめりな持ち心地。




しかしコンパクトで可愛らしいスタイルながら

クラシックでシックな印象もあるレンズだけに、正面から見ると引き締まって見える。



ちなみにこのレンズ、旧型はクローズアップレンズを着用して

ややマクロ的な撮影も楽しめたのだが、なんと現行のⅡ型はそのままで1:4で撮影できる。

0.25倍なのでマクロとまでは言い難いが、いわばクオーターマクロではある。


MFレンズでフォーカス距離によってレンズの全長が変わる。

マクロ的に寄って撮ろうとすれば全長がにゅーんと伸びるのも愛嬌がある。





さて、実写。カメラは全てZ6にFTZを介して着けている。


最新の高性能レンズと比べれば、いかにも解像力は重視していないのが分かるが

それでも、開放でもピント部はちゃんとがんばっているしそこからのボケも綺麗だ。




光に対して素直なレンズかなという印象。

癖玉もそれはそれで楽しいが、パンケーキとして常用し

スナップ的にMFレンズを気軽に楽しむという意味では非常に良い。



少し対象を変え、書棚のマティアスを



私はドールたちを寄りで撮ることも多いので

あまりに寄れないレンズは困るが、さすが0.25倍まで寄れるだけあって使い勝手が良い。

色乗りも深みはあるがわざとらしさは無いように感じる。


ここまでは全て開放で撮っている。


外に出てみた。



ググっと絞ってf5.6まで。

花びらや葉の細かい筋までキッチリ解像している。

明部・暗部の雰囲気も悪くない。現像で少しコントラストを上げてみても良いかも。



ちょっと意地悪に開放でこんな花を。

思った以上に素晴らしい。


ピント部からボケへの滑らかさでは、さすがに105mm f1.4程には劣るが 開放でもピント部がしっかり解像しているので際立ちやすい。

40mmながら寄れるというのも大きい。



こちらも開放で。良い感じ。


ざっくりとした試写だったが、それでも印象はかなり良い。


Noktonもそうだったが、コシナ・フォクトレンダーは

レンズを操作することの楽しさを教えてくれる。


最近のレンズは、解像力テストなどがつきもののせいか

どうしても高性能であることが求められがちで

その為にコストもかかれば、サイズも大きく、重量も重くなりがちだ。



しかし、コシナは目的や狙いを絞って開発すれば

お手頃にこんなに楽しくて良いレンズが作れるのだ、というのを示してくれている。



残念ながら私の目では、今までMFレンズはかなり難しかったのだが

最近はZ6のおかげでなんの問題もなく楽しく使えている。

これからもZ6の普段使いに使いたいレンズだ。

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