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撮影初めてのモデルさん

  • 執筆者の写真: Giro
    Giro
  • 6月2日
  • 読了時間: 9分

ポートレート撮影にはいくつかのパターンがあって

いわゆる媒体等が起案となる商業撮影

事務所さん等からの宣材撮影

そして個人依頼の撮影、等である。


大事なのは、依頼元の規模や単価ではなく(大事だけども)

その撮影の「主目的」である。


というか、これはポートレート以外も該当するのだが

写真を撮る時に、主目的はなにか、とか、主題はなにか、というのは常に存在して

それを意識して機材を選んだり構図、そして現像を考えた方が良い。


漠然とした街並みを撮るスナップであっても

それは「漠然とした街並み」を撮っているのであって

面白い看板でも綺麗な花でも空模様でも、何かにフォーカスしているわけではない。


デジタルだと何も考えずに撮りまくって、いまいちなのは後で消して

なんかいいなというのを残して、それに名前や後付けでテーマを与えてもいいかもしれないが、フイルムを使っていると、やはり撮る前にある程度その意識を持つ気がする。



さて、先日ポートレート撮影を行ってきた。


被写体となってくれたのは、心から信頼できる私のお友だち、まゆかさん。


いわゆる被写体経験は全くなく、ちゃんとしたカメラといえば

成人式で撮ってもらったかな、くらいの記憶になるらしい。


信頼関係のある友人とはいえ、撮るからにはこちらはちゃんと良い写真を撮ろう

という気持ちになるし、もちろんあちらも撮影を楽しみにしてくれている。


こういう時に、一番大切なのは

「初めての撮影」を意識することだと思う。

もう少し言えば「初めての撮影、楽しかったな」とか

「撮影してもらって良かった」と思ってもらえるかどうかだ。


実は本人さんと事前に話す中で

撮影、カメラへの苦手意識みたいなものを語っておられたのもあって

今回そこに重きを置いて撮影させて頂いた。


なお掲載について、本人さんから快諾を頂いたのでありがたく使わせて頂く。



・良い意味で緩く、良い意味で軽く


撮影慣れしていない方のポートレートの場合

本人さんがよほど強く希望した場合を除き、基本的には

ある種の緩さがあった方が良い。


衣装やメイクへの指示は私の仕事ではないので元よりしないにしても

はい、ここに立って!ポーズはこう!ライティング組んでテスト発光!

みたいな(そんな口調ではないにしても)しっかり進行していく、となると

あわあわしてしまうし、どうしたらいいか分からない、上手くできない、と

感じてしまう人もいるし、何より全然楽しくない。


だからもう、普通に友だちとしてダベってる中で

え?どうする?とりあえずそこで、ごろんってしてみる?

みたいに二人で思い付きをしゃべりながら撮って行く。


Z 50mm f/1.2S
Z 50mm f/1.2S


一面が全域窓で(高さは微妙だったが)自然光が大きく入るビル内のワンフロアスタジオ。


私は普段はどちらかといえば光より影を撮る派だが

ここで女性のポートレートなら、やっぱり明るく行きたい。

白系衣装の場合は特にハイトーン活かしで。



笑顔の指定なんかもしない。

変にこう笑って、なんて言われて、自然に笑える人なんてそうそういない。

撮影に慣れていない、撮られるの苦手かも、そんな人にはなおさら。


でも気心の知れたお友だちだからこそ、ある程度近づいても問題ない。

この利点は撮影にも大きく活かせる。


Z 135mm f/1.8S Plena
Z 135mm f/1.8S Plena

表情豊かで笑顔の素敵な方なので、表情に寄ったカットも。

自然で柔らかい表情。


なお撮影慣れしてない方で、しかも初対面

みたいなケースで、あまりに大型のレンズや近距離での撮影は

余計に緊張させてしまうので、自然な表情を狙う際は一考の余地あり。


逆に緊張感を出してシリアスに狙うならそれもまたありだが

写真の事ばかり考えて、被写体さんの心境を無視するのは絶対NG


特に女性の場合、あまり知らない男性とスタジオで二人きり

妙に接近される、それだけで、冗談抜きで危険を感じてもおかしくないのだから

カメラマンは勝手な思い込みをせずに

「もうちょっと近づいても大丈夫ですか?」といった確認は欠かさないように。



・被写体(依頼者)さんのイメージに寄る


さて、初めての撮影なのでとにかく緩くても良いから楽しめるように

というのを撮る側の意識として主にしている話をしてきたが、もう1つ大事なことがある。


それは被写体さんの主目的はなんなのか、である。


例えばそれが、何かのオーディションに出すための

宣材写真を撮りたい、とかであればその目的を果たすのがカメラマンの役割だ。


なので事前ヒアリング、打ち合わせはかなり大事。



今回は、こんな写真とかいいっすねーと事前にお聞きしたのが

ストリートスナップっぽいものもあったので、ちょっとそういう意識も持った。


また、ちょっと「クスッとできる」ものとかもあればいいな、とも。


 Z 50mm f/1.2S
Z 50mm f/1.2S

ファッション系のスナップについては、私は雑誌社付きではないので

そんなに豊富な経験はないが、狙いや意図は分かる。


服やアクセサリー、ファッション系の写真には大別して2種類あって

商品そのものを見せるのと、商品をどう使うかを見せるもの、このどちらかだ。


例えば「服そのものを商品」として見せたいのと

「こういう服着てこういうところにお出かけとかよくない?」と見せるのとは

写真としてけっこう狙いが変わる。


ファッション系のストリートスナップは後者に寄っていて

これもバリバリの物撮りよりも、軽さ、緩さがあってよい。



そんなわけで上の写真、なんか机と椅子あるし座ってみますかー

みたいな緩い流れで座ってもらった。


左側にはスタジオ出入り口のドアも映り込めば機材バッグもある

右側には交換レンズ(24-70)も映り込んでいて

商業写真でこんなのを出せばボツ間違いなしだが、初めてスタジオで撮ってる感

でいえば、この緩さが却って良い。


慌てて背景整理などしはじめると、被写体さんハマっている間に

変に緊張感も出てしまうので、スナップですよーという軽快さ、けっこう大事。


結果、写真全体に軽快さが出て、非常に良い雰囲気になった。




・使えるものは何でも使おう


被写体さんは、よほど慣れたプロ以外は、ポーズも表情もどうしたらいいのか戸惑う。

幾つかこんな感じかな?と思っても、すぐにネタ切れになる。

これはカメラマン側も同じで、ポートレートメインの方でないと

ポーズ指定なんてあれこれ細かく多数できない。


そういう時は、シンプルだ。使えるものは何でも使え。


壁にもたれても良い、鏡や窓を使っても良い。

スタジオに小物があれば、べたでもなんでもいいからとにかくやってみる。

撮影に幅ができるし、その中で今までと違った表情が引き出せればそれでいい。


Z 50mm f/1.2S
Z 50mm f/1.2S

スタジオにある花で前ボケ作り、なんてベタ中のベタだが

なにせ表情が良いし、お顔の柔らかい雰囲気もあってこれで十二分に良い。


他にも今回は、窓寄り、クッション、机、壁紙、ソファと

スタジオ内の物を順次使いながら撮っていった。


ポーズや表情をどうすればいいんだろう、と意識させずに

さっきまでと違う場所、違うもの、を使うだけで

被写体さんの負担を少し減らせるのだから、スタジオではあらゆるものを駆使しよう。




・レンズも変えよう


テンポ重視の撮影の場合、レンズ交換はあまりお勧めできない。

だから24-70mmみたいな、非常に使い勝手の良いレンズ1本で済ませることもあるし

私は基本、どんな現場でも最低2台運用で行く。

同じ場面で違ったレンズ、組み合わせを変えて即座に撮るにはその方が良い。


ただ、今回はあえてレンズを多めに持って行って、変えながら撮った。


初めての撮影、という特殊な環境で

撮影を楽しみにして来てくれた被写体さんには

変に撮影を意識させすぎると固くなり、疲れてしまう。


ポーズとか表情とか全然できなかったなーと落ち込ませてしまったり

緊張して疲れた…という印象ばかりになってしまうと申し訳ない。

そう思わせないのもカメラマンの役目だ。


同時に、なんか適当に撮ってない?と万が一にでも思わせてしまったら

そして撮影に全力、本気を傾けられないなら、カメラマンを即刻引退した方が良い。


あくまで軽快、楽しく、気軽に、でも撮影へのこだわりをしっかり持って

今回の撮影に自分も全力で挑んでいる、というのを伝えたい。


そういう中で、レンズ交換は大きな要素となる。


TAMRON 90mm f/2.5 52BB
TAMRON 90mm f/2.5 52BB

このレンズはタムロンの52BB、1980年代のMFハーフマクロレンズである。

タムロンの柔らかい描写が非常に良く出せて、女性のポートレートにも非常に合う。


が、いかんせん古めのMFなので、ピント合わせはかなりシビア。


カメラを長時間向けられて「動かないでー」となると緊張してしまう。

でも、オールドレンズなので、見た目にもそれまでの物と違いが分かりやすく

雑談的にレンズうんちくでも語りながら(全く興味ない人には退屈なだけなので要注意)

じっくりピントを詰めていき、それまでとは違ったテンポで撮影していくと

またさっきまでと違った雰囲気の写真に仕上がる。


それなりの時間、動けずカメラを意識すると被写体さんは緊張して疲れてしまうが

大丈夫このレンズ、むしろ疲れるのはシビアなピント合わせで苦しんでるこっちですから!

という事が伝われば、むしろそんな時間すら楽しんでもらえる。



とまあ、こうやって言葉で書いて行けば

なんだか色々考えて準備したり撮ったりしてるんだなーとなる。


もちろん準備も撮影も色々考えてはいるが

一言で言いかえてしまえばいたってシンプルだ。


「良い日にしよう」それだけである。


撮影のための1日、お互いの時間や労力、あるいは費用など

色々なものを考えても

「いやー良い1日だったな、楽しかったな」

「撮影してもらってよかった」そう思ってもらえればそれでいい。


これは、極端にいえば「良い写真が撮れたか」よりも価値がある。

これが単なるお友だち同士の撮影なら

「ごめん帰ったら、カメラの設定間違えてて撮れてなかったー」

みたいなことがあっても、それはそれで

「えー、なら次回はリベンジね」と笑えて良い思い出になるかもしれない。


もちろん、カメラマンで飯を食っている以上は

そんなことは言ってられないので、ちゃんと写真としても

最高の物を目指して撮っているが、最初に言ったように

主目的が何かを履き違えないように、と考えると今回の撮影は

トータル大成功の大満足だった、と自分でも思う。


以下作例をいくつか。


Z 50mm f/1.2S
Z 50mm f/1.2S

Z 135mm f/1.8S Plena
Z 135mm f/1.8S Plena
Z 50mm f/1.2S
Z 50mm f/1.2S
Z 50mm f/1.2S
Z 50mm f/1.2S
Z 50mm f/1.2S
Z 50mm f/1.2S
Z 50mm f/1.2S
Z 50mm f/1.2S

終わってみれば、本当に撮影初めて?というくらいに

自然な表情がたくさんで、お友だちであるというのを抜きにしても

本当に素敵な被写体さんでした。


仕事だと権利ガチガチで許可取りも面倒なので

あまりブログやSNSで使えるものがないのですが、そこも快諾頂き圧倒的感謝!


まゆかさん、また撮りましょうね!


なお、今回撮影に使用した機材は

・Z9 2台

・Z 50mm f/1.2S

・Z 24-70mm f/2.8S Ⅱ

・Z 135mm f/1.8S Plena

・Tamron 90mm f/2.5 52BB


ライティングは、Profoto 10BとA1Xを補助的に使用しているものもあるが

多くは自然光活かしで、レフ板を軽く使っている程度である。


 
 
 

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