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執筆者の写真Giro

NIKKOR 120-300mm F2.8E FL ED SR VR

2月末、4年に1度の閏日である2/29に ニコンから、驚きの新商品がついに発売された。


AF-S NIKKOR 120-300mm F2.8E FL ED SR VR


120mmから300mmまでの画角をカバーした望遠ズームで しかも絞りが通しf2.8、電磁絞りのE型 FL蛍石レンズ、などなど最新型らしいてんこ盛りの中に ニッコールレンズで初めての新開発SRレンズが使われている。


ちなみにSRレンズ搭載機としては 本来ミラーレスZマウント用の70-200mm f2.8が初搭載機のはずなのだが こちらは2/14発売予定だったのが延期のままになっており 結果的にこの120-300に抜かされてしまった。



ちなみに120-300のf2.8というスペックだけをみると 既にシグマが6~7年前に発売し、当時かなり話題になっていた。




そもそも望遠ズームと言えば、いわゆる大三元の長兄にあたる

70-200mm f2.8が代表格で、各メーカー非常に力を入れて開発・改良されている。


私自身、サードパーティー製の70-200から始まり 今はニコンの現行70-200 f2.8E FLを非常に愛用している(Zの70-200も予約済み)


それくらいこの70-200 f2.8は使い勝手がいいのだが

状況によっては少し足りないことがある。


私はスポーツ撮影の時は、70-200をベースとしつつ もう少し長さが欲しいので300mm f2.8との併用が基本構成

暗さが気になる環境だと200mm f2、もっと長い方がいい時は400mm f2.8と

もう1つ~2つのレンズを持ち込んで使い分けている。


しかし、もしこの120-300 f2.8が300mm f2.8と同等とまではいかなくても

あまり見劣りしない性能であれば、70-200 + 300を1本で賄いきれるかもしれない。

(シグマの120-300には当時それを期待していたが、テストしたところ ちょっと性能的には300mm f2.8には目に見えて劣っていたので見送った)


荷物が減るのもありがたいし、機材の持ち替えロスも減る。 なんとありがたいことか!



というわけで

予約して購入してみた。


メーカー希望の定価は¥1,393,700-

ありがたいことに実売は25万円以上も安かった、とはいえ3桁万円台。

いわゆる「桁の違う」レンズである。





さて、400mm f2.8はトランク型ハードケースに入ってきたが この120-300はご覧のようにソフトケースである。

とはいえ作りは非常にしっかりしている。

大物レンズはこういう付属品だけでもワクワクして楽しい。


底面は固めの加工で、運搬時にポンとそこらへんにおいても問題なさそう。


内部のパッドも想像以上にしっかりしていて レンズケース買わずにこのままでいいかなと思ったが、このケースを汚したくない気も。


さて、いくら高性能で画角をカバーできても 大きさ重さが桁違いなら、結局運用する上では不便である。

大きさ重さの違いを見ていこう。




左がAF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II 通称サンニッパ

右がAF-S NIKKOR 120-300mm f/2.8E FL ED SR VR 昨日出たレンズである


サンニッパは124 x 267.5 mm の2,900g (最大径 x 長さ)

120-300は128 x 303.5 mm の3,250g

なお、ズームレンズだが、焦点距離によって全長は変化しない。

大きくなったといえばなったが、あまり変わらないといえば変わらない。 径の4mmは誤差の範疇だが 長さの36mmが、バッグによっては入りづらくなるかもしれない。

ちなみに400mm f2.8となると 159.5 x 358 mmの3,800gで、やはり一回り以上大きいという印象にはなる。



持ってみた印象は、350gの増量のはずだが、全く違和感はないどころか

FLレンズの配置が絶妙なのか、バランスが非常によく

むしろ手への負担は少ないようにすら感じる。 ただし、これは新機材購入で興奮していることによる錯覚かもしれない。



前玉を覗いてみると、なんだか今までのレンズと違う気がする。 アルネオコートやSRレンズのせいだろうか、いやまさか。 人間の目で見て分かるくらい変わってたら、写りも全然違うものになってしまう。


きっとこれも新機材への期待がそう見せているのだろう。

さて軽くテストをしてみた。 非常にざっくりとしたファーストインプレッションだが ・AFの早さがすごい 最短から遠距離まで一瞬(D5との組み合わせで) ・ズームリング回転角がちょっと大きめ(一気に距離を変えづらい)

・手振れ補正めっちゃ効く

・解像申し分なし 上2つはそのままの意味なので良しとして、下の2つについてもう少し詳しく。




まず手振れ補正。

標準以下はともかく、望遠レンズでは手振れ補正は無視できない。

もちろん狙いによっては被写体ブレの方が遥かに深刻だが 手振れしてしまっては何の意味もない。

328はたまにデータチェックをした時に手ブレでがっかりすることもあり

長時間撮影になると、いかに自分のホールドが弱まっているか反省するばかりである。



またレンズの解像力も非常に重要。

如何に超高性能な望遠単焦点の328とはいえ、発売から10年選手である。 また、かたや最新最高級のレンズとはいえ、ズームレンズである。


いくら120-300が便利でも、ここぞという解像力ではまだまだ328が上 ということであれば、328は残して現場によって使い分けねばならない。



ということでテストしてみた。 廊下の奥、おおよそ5m離れたところにある消火器を撮ってみた。


使用機材は粗が目立つようにD850、もっと広い範囲が映っていたが 分かりやすい部分だけほぼ等倍でトリミングして切り取ってみた。 手振れ補正の実験も兼ねているので三脚などは使用していない。 よって厳密な比較検査にはなっていない。


なお撮影情報はどちらもISO2000、シャッタースピードは1/50s、絞り開放

現像はほとんどなにもしていない(ISO2000なので若干ノイズリダクションはかけた)

アップ用に画質はちょっと落としてある。


まずは328(と思ったが事情合ってこちらはシャッタースピード少し早めの1/60s)



若干の手ブレが気になる。

実は1/50sで撮ったものがどれもかなり手ブレしてしまったので 苦肉の策でほんの少しだけシャッタースピードを上げた。


とはいえ5m離れたところの小さな文字まで読み取れるのであれば 十分な解像力とは言えそう。



つづいて120-300




正直に言って、ここまで違うかというほど違う。 300mmで1/50sという意地悪な条件なのに全く手ブレが感じられない。

ここまで強力な手振れ補正だとは思わなかった。


また、コントラスト、抜けの良さ、解像力も素晴らしい。 SRレンズは非常に色収差補正に強い性質があるとのことだが

当然収差が抑えられれば解像感も変わる。

このテスト被写体がそれに最適だったかどうかはさておき

少なくともこれをみて 「やっぱり所詮はズームレンズ」 「望遠単焦点の代表格である328が貫録を見せつけた」 とは思えない。


あくまで私の個人的見解だが、画質面でも120-300は328を上回っている。



正直、予約をしてからも 「結局328と2台持ちになって使い分けに困るんじゃないか」 といった不安はあったが、実際にこうして使ってみると杞憂に終わった。


70-200とこれで幅広くカバーしても良いし、これとさらに長めの428との合わせ 相当暗ければ200mm f2という組み合わせは変わらないが なんならこれ1本でほとんど全部できちゃうんじゃない?とすら思える。


高くとも良い買い物とはまさにこのこと。 この域で撮影することが多い方なら、このためにニコンFマウントに マウント替えしても良いんじゃないかとすら思ってしまった。


今後時間があれば70-200との比較、200mm f2との比較などもやってみたい。

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