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D6

ニコンのD6が諸々の事情で延期されながら、ようやく今日発売された。


発表直後に予約を入れていた私の元には無事に届いたが 供給不足もアナウンスされているので、後になって購入を決断した人には 届くのはもう少し先になるかもしれない。



6ではなくDを強調した箱、というのもなかなか趣が深い。

そういえばZシリーズの箱は「Z」が強調されていたような気がする。


ミラーレスのZに主流が移り始める中で 「これこそがD(一眼レフ)だ」という渾身の力を込めた意匠なら こちらもそれ相応の気持ちで受け止めねばならない。


何と言ってもニコンのDひと桁はフラッグシップ、 その時のニコンの本気、技術の粋が込められたこれ以上ない機種なのだ。


私はD5を購入してから3年半を少し超えたが その間に100万枚以上、D5を使って写真を撮ってきた。


いついかなる、どんな状況でも、安心して使える最高の機種だった。

本来ならD6も、オリンピックでスポーツを撮る プロカメラマンが信頼を込めて選択していたはずの機種なのだ。




箱から出してみた。ほぼD5である。


4年ぶりの最新型フラッグシップだが、いい意味で変化は少ない。 奇をてらって最新機能を盛り込むよりも、元々限りなく完成度の高いD5を 1%でも正常進化させてくれた方がこちらとしてもありがたい。 いや、1%の進化が無くとも、D5を微調整してさらに精度を高めただけであったとしても、私は買っただろう。 (そもそもD5がさすがにそろそろ寿命で、新品に買い替えるかどうかというタイミングだったので)


握った瞬間に沸き起こる安心感はさすが。 ああ、またこいつを8時間以上握りっぱなしで撮影することになるんだな、と考えても 負担や不安よりも、絶対的な頼もしさを感じる。




操作系もD5とほぼ変わらず。

単写・連写切り替えダイヤル等細かい部分での変更はあるが何の違和感もない。


つまりD5ユーザーなら 意識するまでもなく設定を切り替えて被写体を追い続けられる。 それはどんなカタログスペックよりも大事なことだ。



今までも何度も言ってきたように 私は写真家でもアーティストでもない。 アマチュアの方のよくいう「写真好き」ともまた違う。


カメラを操作するプロであるカメラマン、なのだ。 写真はその結果でしかない。

写真で何かを表現したいとか、芸術性を出したいなどとは思わない。


あるものを、しっかりと光学機器の性質を使って記録する その為の道具として、D5は完璧といって良い存在だった。


そして、恐らくD6もそうだろう、握った瞬間にそう感じた。 万が一ダメならまたD5を買えばいい。笑





D6に今年の2月末に出たばかりの AF-S NIKKOR 120-300mm f/2.8E FL ED SR VRを組み合わせてみた。


恐らく考えうる限り、今の技術で出せる望遠ズームで世界最高のものだ。


D6との組み合わせはしっくりくるが 構えてみると、妙な感覚にとらわれた。 それは、2頭の暴れ馬が引く馬車にしがみついているような感覚だ。


本来ならここは「元々こうあるように設計されていたかのように」 ぴったりと組み合わさった、とでも言いたいところなのだが、そうではなかった。


どちらにもニコンの技術と自信を詰め込みすぎて 角は取れていないような、凄みが喧嘩しているような感覚だ。


同時に機材からこういわれている。 「お前は我々を御せるのか?」


御してみせよう、とりあえず10万枚は練習させてもらいたいけど。笑




とりあえずこの組み合わせで外に出てみた。 家の前に開きかけた紫陽花があったので撮ってみる。


レンズが良すぎてカメラのことは何も伝わらない。 やはり動きもの、高感度でのテストをしなければ。


また、写真では伝わらないがシャッター音がおかしい。 D5は「シャッター駆動部」を感じる音だった。 D6はまるでクリック音だ。 これミラーレスの電子シャッターじゃないよね?と思わず。


だが、意味合いはなんとなく感じる。 シャッターショックを極力抑え、そして高速連写に対応しようとした結果なのだろうか。

好みは分かれるだろうが、道具としての信頼度を重視した結果であればこの音も受け入れる。


AFは当然吸い付くように早く正確だが、D5時代からこれは天下一品だったので やはり今回の目玉のトリプルクロスセンサーをチェックするには 激しい動きのスポーツや野生動物で試さねばなるまい。



今はこういった情勢で、正直スポーツの大会で撮ることも難しいが その時が来るまでしっかりと機材の特徴を掴んでおきたい。 それは、フラッグシップ機を手にした者の、ある種の義務である。


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