最近のブログにありがちなタイトルである。
が、書いているうちにD5の話以外が長くなったのでタイトルに偽りありとなった。
さて、そんなわけでD5を購入してから1年が過ぎた。
より正確には1年と1か月が過ぎた。
D5を選ぶに至る変遷は、以前にも何度かSNS等で書いたことがあるが
言ってもD5、言ってもニコンのフラッグシップである。
私が買った時も、そして今でも、小売り価格で60万円は超える代物。
体調の関係で短時間労働のサラリーマンにおいそれと出せる額ではない。
それでも私はD5を選んだ。
D90辺りからデジタル一眼レフを所有し始め
D7000を経てD600でフルサイズデビュー。
ああ、やっぱりフルサイズはいいなー(漠然)と思っていた私だったが
D600は件のオイルダスト問題があり
近場にCSの無い私は、定期的にセンサークリーニングに行くのがめんどくさかった。
折しも、スポーツ撮影を本格化させていた頃で、日に日にシャッター数は増える。
シャッター数が増えれば寿命も減るし、センサーはさらに汚れやすくなる。
ある時、センターでお悩み相談してみたところ
D600のダスト問題を改善するためだけに出た後継のD610に新品交換してくれるとのこと。
ああ、ニコンさん、さすがです…と感涙し交換してもらったころに
ニコンのAPS-CフォーマットのフラッグシップであるD500の話が…
ニコンのデジ一の歴史を紐解く中で、忘れてはいけないのが
D700とD300(s)だと思う。
D一桁、いわゆるフラッグシップというちょっと別格の存在を掲げながら
その性能をより身近に感じられる、小型版フラッグシップともいえる両機。
中でも、D3が出た時に同時に出たD300は、D3をそのままAPS-Cにしましたよ
というようなまさにAPS-C版のフラッグシップで非常に人気が高かった。
が、ニコンはなぜかその後APS-Cのフラッグシップは出さず
気が付けばD3000/5000/7000番台というよく分からないラインナップになっていた。
そんなニコンが満を持して、圧倒的な性能で送り出したのがD500。
特にその先鋭的な作り込みは、スポーツ撮りたきゃこれを使え!と言われているようで
APS-Cながらお値段25万円くらいだったと思うが
D610の新品が手元にあった私は、これを下取りに出せば買えるんじゃね?
とついフラフラと揺らいでしまったのだ。
そんなわけでD500が気になって仕方なかった私は
こまめにカメラ屋さんのHPなどをチェックするようになり
金利手数料無料の36回払い、という言葉を見て、予約をしてしまったのだった。
分割で買えたことで、D610はしばらく手元に置いておいて
2台体制での撮影が続いた。
D500が届いてスポーツではD500、それ以外でD610という風になったのだ。
しばらくの間はD500すげええ!!AF早い、追従性凄い、連写は鬼!
という感じで、スポーツでの活躍頻度はすごかったのだが
撮った写真を帰ってきてチェックすると、うーん…
室内スポーツでISO2000以上が当たり前、場合によっては3200~6400も
という環境だと、さすがにノイズが気になる…
ノイズを消すように処理していくと、なんだかのっぺりしてしまう。
お値段にして半額のD610の方が、上がってくる画だけ見ると良いような…
これがセンサーサイズの物理的限界なのか…?
とは思いつつも、連写性が良いもんで、気が付けば10万ショットほど使っていた。
APS-Cはフルサイズ比1.5倍の換算画角というのもあって、スポーツだと助かるんだよ~
でも、画質は微妙に気になる…
そこでふと考えた。
D500は今シャッター耐久20万枚を折り返した。
もし仮にシャッターがいかれたとして、お金をかけてD500を直すだろうか
あるいは、またD500に買い換えるという決断をするだろうか…
それならいっそ、別のカメラに換えるべきでは…?
幸いボーナス払いがあったこともあり、分割の残りは払えない額ではない。
とはいえ、D500を活用するために、XQDカードを数枚既に買ってしまっている。
XQDカードを有効活用し、D500より画質がよく(曖昧)なり
しかも気に入ってるAFや連写性が見劣りしないもの…
あれ、これってD5しかなくね?
というわけで悩みに悩んだ末、D500を下取りに出し、D5を買ったのだった。
いやね、それまでカメラは10万円前後が精一杯だったわけですよ。
そしてD500で初めて20万円越えという大きな買い物をして
分割とはいえめちゃくちゃ悩んだわけですよ。
それが今度は60万越えですからね…
D500下取り、ちょくちょく副業で貯めてたお金を頭金に…
としてみてもまだ半分くらいは残りました。今度はそれを分割です。
貧血起こしそうな勢いですよ、リアルに。
あ、D500の残金は一括で支払いました。
D5が届いた時のことははっきり覚えています。
とにかく箱からしてデカい、重い、使うために充電しようとしたら
バッテリーがでかい、充電器もでかい。
ああ、これはニコンのフラッグシップなんだ、これ以上の機種はないんだ、と
これでもかと実感させられるわけです。
D600使ってる時に、いうてもフルサイズ入門機なんで~
D750だったらもっと高感度ノイズ少なくて綺麗だったかも~
なんて言ってたのが通用しなくなるわけです。
(画素数的には2,000万画素ですけどね)
重く、でかく、まさに鉄塊だった、とベルセルク並みに言いたくなる
このD5は、機材への言い訳を許してくれません。
レンズ?
ああ、それまでスポーツだとタムロンの70-200mm f2.8を使ってましたよ。
でもD500の時から、どうもこのレンズが怪しい
ピントが甘くなりがちだし、解像も物足りない
そんな時に出たわけですよ、純正の70-200mm f2.8E FLが。
D5とこれの組み合わせって、なんかよくないですか?
D610、まだいますよ、下取りだせますよね。
はい、ドーン!!D610は巣立っていきました…
ということでこのレンズまで手に入れ、
しばらくスポーツ撮影はこの装備で…マジで機材で言い訳できない…
が、大事なことを忘れていました。
画角です。
D500でスポーツを撮ると、70-200は換算105~300mm
フルサイズでいうと70-300を使ってる感覚で70-200の1本で全てが済むわけです。
が、フルサイズで70-200だと、この200が微妙に足りない…
状況によっては300でもきつい。
D5がただでさえ嵩張るし70-200mm f2.8EはFLとはいえ
やはり大きくて重い…それなら、カメラバッグの隙間にねじ込める300mm…
はい、300mm f4 PFをドーン!テレコン1.4もおまけに。
これで私のスポーツ撮影の装備は整いました。
D5に70-200、少し離れた席なら300、これで大抵の条件が気になりません。
ISOは、D500で1つの壁と感じていた1600~2000程度なら
ノイズがほとんど分からないレベル
3200~6400でも十分実用レベルで、さすがD5です。
連写、AF共に比類なきレベル、そして意外とスポーツ以外で使ってみても
諧調性だったり質感描写だったりがすごく良いんですよね。
これはカタログの数値だけだと分かりづらい部分だと思います。
そんなわけでスポーツをメインに、撮って撮って撮りまくる日々。
気が付けばこの1年で30万ショットという枚数を撮ってました。
それだけ撮って気が付いたことがあります。
それは、カメラとは道具である、ということ。
綺麗な写真、カッコいい写真、独創的でお洒落な写真
それらを生み出すことができるのもカメラというものですにが、
それはどちらかといえば、撮影者のセンスやアイデアが大事です。
でも撮影者は人間であり、体調や気分の変化があって
いつでも撮影に集中できるものではない、と考えた時
カメラはそうであってはいけない、と気づきました。
撮影者が今日はやる気だぞ!と1日1万枚以上も撮ろうとしても
ちょっと無茶なことをやってみても
カメラ側が「今日はちょっとやめとく~」なんてことはあってはならない。
我がままでいい加減で理不尽な、人間という生き物が使う道具
それは、いついかなる時でも、その要求に応えなければならない。
それが道具の信頼度というものです。
D5を使っていると不安を感じません。
あ、今日はフル充電してきてない、という時に、バッテリー切れを気にして
ペース配分を考えながらの撮影、なんてことをしたことがありません。
遠征時に充電器が邪魔だから置いていこう、となっても
1万枚撮ってもまだまバッテリーに余裕があり、心配することなく撮れました。
握っただけで、これ落っことしてもまず壊れないだろうな…と思う
抜群の堅牢性を感じるカメラは初めてでした。
暗すぎて写真撮る気にならないような環境でも、こいつなら、と思えます。
カメラに何を求めるかは人それぞれですが
私のような1年で何十万枚という使い方をするものにとって
今日も間違いなく最後まで動いてくれる、という信頼感は
ある意味ではどんな性能よりも魅力的です。
結局その後、ポートレートや風景
画角を稼ぐためのクロップ・トリミング用途も考えD850を買ったり
300mm f4よりも更なる画質を求めて300mm f2.8を買ったりしましたが
迷った時にはD5と70-200があれば最低限必ず撮影はできる
という安心感に揺らぎはありません。
1年間D5を使って分かったのは
少なくとも私にとって、カメラを使う上で最も大事なのは
連写性能や画素数といったカタログの数値ではなく
道具としての信頼度である、ということ。
私がへなちょこであっても、センスが皆無であっても
D5はいつでもシャッターを切ることのできる、信頼できる道具なのです。
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