ニコンのフルサイズミラーレス用のマウント、Zマウント。
これついては、発表された当初からあれこれと勝手な私見を書いてきた。
大口径、短フランジバックのメリットは幾つかあり
そもそもそれまでのFマウントが、元をたどれば今から60年も前。
逆に言えば60年間も1つの基本設計を貫いてきたのはすごいのだが
60年間縛られてきた、ともいえる。
そんなニコンが次の100年のために開発したのがZマウントだ。
勝手な想像だけれど、きっとニコンのレンズ開発陣は
マウントがもうちょっとこうなら、こんなレンズが作れるはずなのに…という
悔しい思いを何度も飲み込んできたはずで、Zはその積もったフラストレーションを
一気に解き放ち、昇華するに足る、ニコンの答えだったはずだ。
とはいえ、まだ始動したばかりのZマウント
カメラはZ7・Z6と2台出ており、Z6は私も愛用していて非常に心地よいが
レンズラインナップはまだ決して充実してはいない。
ちなみに私はZ6購入時に35mm f/1.8を合わせて入手した。
35mm f1.8とは何とも「ベタ」なレンズで
例えばAPS-C用なら2万円前後で買えて、小型軽量ながら単焦点らしい描写で
いわゆる「撒き餌レンズ」の1つである。
が、Zマウントのこのレンズは同じ35mm f1.8でも思ったより大きく思ったよりお高い。
新しいマウントを活かした、周辺までバリッとした解像は素晴らしく
気軽に使いつつも、きちっとした作品撮りにも十分活用できる性能だが
なんといっても35mm f1.8というド定番の割にちょっと高いんじゃない?
という印象が付いて回るのか、実際に使えば良さが分かるのに、あまり浸透していない。
とはいえ、ニコンはいつもこうだ、といえばそれまでだが。
(もうちょっと商売上手になって欲しい)
そこでニコンもここに来て目玉になりそうなレンズを少しずつ増やしている。 広角ズームの14-30 f4は、f4に抑えたこともあり 14mmスタートの広角ズームだとは思えないコンパクトさで マウントの利点をフル活用したかのように、画角全面で非常に高性能らしい。 正直、私もこれを欲しいな、と思ったのだが、悩んでいるうちに 人気の為、入手困難になってしまった。 その内、元々あまり広角を使わない人間だし まあ今はFマウントの28mm f1.4もあり、気に入ってるのでまあいいかな、と 徐々に心変わりしてきた。 そこで目が付いたのが、超定番「24-70mm f2.8」である

いわゆる大三元の中心、物撮りからポートレート・スナップまでどんな場面でも使え f2.8通しは各メーカー、看板のような扱いなだけに力の入れようもすごい。 が、私はFマウントでは所有していなかった。 35mmからは単焦点をあれこれ持っていて、いくらf2.8通しズームが高性能でも 単焦点の表現力には敵わないだろうと思っていたからだ。 が、さすがZマウントの中での目玉レンズの1つ、使ってみて驚いた。
まず周辺までの解像力がすごい。

通常、レンズというのは最も光の集まりやすい 中央部がもっとも明るく解像力も高くなる。
逆に言えば画角の端、周辺部は暗くなったり解像力が落ちやすい。
もちろん、周辺減光に関してはこのレンズもあるのだが
解像力に関しては、中央とほぼ同等を維持している。
構図を決める時に、画角の端に配置したものがバリッと写る、ということは
それだけ構図の自由度が上がるということでもあり、使い勝手は非常に良い。 (オールドレンズのような、周辺の甘さ、大幅な周辺減光を味として使いたい場合は別)
ボケも言うことはないし、新しいコーティングのおかげか色も良い。
なんともすごいレンズである。

ピント面で写真をたどって欲しい。
右目(写真の中の位置でいうと左の目)にピントを合わせているが 当然それと同じ距離感の場所にはピントが合う。分かりやすいのが髪である。
下に流れていく髪が、画角の最後の最後まで、ピント合焦している部分に関しては
驚くほど繊細に解像されているのが分かる。
こういったレンズが今までにあったか、あまり私の記憶にはない。
なるほど、これがニコンのやりたかったことか、と納得してしまった。
あまりズームレンズは好きではない私も、しばらくはこのレンズの虜になりそうだ。
少なくともZを持って行くときは、常に携帯したい。
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