昨年9月に手に入れたばかりのX-H1を、早くも手放してしまった。
今回の記事ではX-H1と使用したレンズ
そして代わりに手元に来ることになったZ6について書いていきたい。
色々と本音で書くつもりなので、所有者の方には不快になる内容も含まれてしまうかもしれないが、あくまで私見なので予めご了承いただきたい。
決して特定の機種やメーカーを悪く言いたいわけではない。
ありしのX-H1 装着レンズは XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro

・そもそも私がなぜX-H1を購入したのか
その辺りをしっかり説明しておかないと、その後の行動や感想も理解されないと思う。
私は決して高画質なミラーレスカメラが欲しかったとか
ミラーレスカメラデビューだと心躍らせ、X-H1を選んだわけではない。
昨年9月、私は某スポーツの撮影中に青ざめていた。
既にシャッター数が耐久値の40万を超え60万ショットが見え始めていた
満身創痍のメイン機、ニコンD5が撮影中に完全に壊れてしまったのである。
シャッターかミラー周りか、いずれにしても工場送りは避けられない。
こんなこともあろうかと、私はD5をメインにD850をサブ機として併用している。
スポーツ系特化の高速連写機であるD5と
超高画素機のD850なので、性格としては真逆な2台なのだが
その分、使い分けはしやすかった。
決してD850はスポーツに向いているわけではなかったが
高画素機故のクロップ、トリミング耐性もあり、どうしても遠い被写体を狙う際には
非常に重宝していたし、バッテリーグリップを付けて秒間9コマまで伸びる連写
さらにD5を共通した操作系などもあり、このコンビが私には最もしっくり来た。
しかし、間の悪いことに、実はこの時ちょうどD850が手元になかったのだ。
D5が故障したその日の撮影はもう諦めるしかないにしても
実は翌日も、その次の週も、スポーツ撮影の予定は入っていた。
D5を急いで修理に出しても、恐らく返ってくるまでに1か月弱はかかる。
D850も恐らくまだ数週はかかるだろう。
結局ニコンユーザーの友人にカメラを借り、次の日はどうにか乗り切ったが
翌週からのことを考えると、急ぎ代替機をどうにかしなければならない。
そこでふと思いついたのが、新機材導入だった。
普通に考えればD5・D850が帰ってくるまでのつなぎなので
D500だったりD750だったりがベストな選択肢だと思ったが
うーん、、、、それはいかにも、つまらない。
D500はD5に移る前に10万ショット以上使い、良い部分も悪い部分も知っていたし
D750は非常にバランスが良い機種だとは思うが、なんというか予想が付いてしまう。
どうせ買うなら、D5・D850が帰ってきてもまだ存在感の残る機種が良い。
そこで気になったのがフジのミラーレスだった。
フジはX100Fを使っていて、そのデザイン、ダイアルの操作性
そして出てくる画も含め、非常に気に入っていたので信頼感があった。
2台が帰ってくるまではスポーツでも使うことを考えると
m4/3よりもセンサーピッチに余裕のある(高感度に強い)APS-C以上が望ましいし
諸々を考えて、よし、フジのミラーレスにしよう!と思い立った。
本格派ならX-T2、スポーツには似合わないがX-Pro2はX100Fの延長的なカッコよさがある。
繋ぎの為と割り切るならX-T20もコスパ良さそうだ。
しかしフジは当時キャッシュバックキャンペーンもやっていて
どうせ買うなら、最上位でボディ内手振れ補正も付いているX-H1だ
という気に、なぜかなった。お金もないのにだ。
X-H1にスポーツでも使えるように
フルサイズでいう70-200mm f2.8、俗にいう大三元に相当する
XF50-140mmF2.8 R LM OIS WRを付ければ、きっとスポーツでもそれなりに使えるぞ。
(価格帯を考えるとD500に70-200とまではいかなくてもD7500に70-200くらいの感じで)
と思ったわけで、合わせて購入。
せっかくフジノンレンズが使えるんだから、他にも気になるレンズを買おう、と
XF14mm(換算21mmの超広角レンズ)も買った。
どうせなら、望遠メインで使っているニコン機との住み分けをしたかったのだ。
さすがに予算が厳しかったのでX100Fを下取りに出してこれらの機材を購入。
かくして、我が家にX-H1とレンズたちが届いたのだ。
・あれ?思ってたのと違う…
さて、X-H1が届いてうきうきしながら電源を入れた時に
私が真っ先に思ったのは
「あれ?思ってたのと違う…」だった。
それは、電源オンから撮影までのほんの少しのラグだったり
うっすら不安はあったEVFの見え方だったりだったが
ミラーレスはこういうもの、という思いと
最新の最上位クラスのミラーレスでもこれか…という思いが交差した。
X100Fでも素晴らしかった画に関しては、もちろん何の不満もなかった。
特にXF14mmは素晴らしく、超広角を手軽に使える楽しさに満ち溢れていた。
(以前使っていたニコンの24mm f1.8よりその点は遥かに良かったと言ってもよい)
いわゆる「赤バッヂ」(フジのレンズの上位モデルについているバッヂ)が
輝きを放つXF50-140mmも、さすがの画質であった。
これは当時、twitterでニコンの70-200mm f2.8E FLとの比較で
彼岸花の写真など載せたので知っている方もおられよう。
まあちょっと起動時のもたつきや、左右に振った時のEVFの残像などが気になるが
このレンズならスポーツでも使えるに違いない。
X100F同様の素晴らしい画質で、高感度ノイズも少ないので
薄暗い屋内でのスポーツでも十分活躍してくれるだろう。
念のためバッテリーグリップも買い、バッテリーも追加で注文したので
ミラーレスの最大の難点である、電池の持たなさもカバーできるはず。
そう思って到着後数日で迎えたスポーツ撮影は……
・悲しい結果
結果から言おう、屋内スポーツでのX-H1 + XF50-140mmの結果は惨敗だった。
個人の主観で正直にいえば、使い物にならない、と言っても良いレベルだった。
常時ブーストモードにしていてもEVFのラグは常に感じるレベルで
目も疲れるし、非常にストレスも感じた。
AFも厳しい。常にワンテンポ遅れる印象だった。
グリップの2個と合わせてバッテリー3個フル充電でも
最後は電池が切れそうになって冷や冷やしながら撮ることになった。
それでも、撮った画が満足いく結果なら
サブ機としてこれからもスポーツの現場に持って行こう、と思えたかもしれない。
しかし結果は、かなり厳しいものだった。
フジはX100FもX-T2もX-H1もその他もろもろも
同じセンサーとエンジンを使っていると言われていて、実際に私も使いながら
こんなに綺麗に撮れるのか、と思うほどの出来だった。
APS-CでもISO3200くらいまで平気に使ってノイズが気にならないのは
ただただすごいの一言で、スナップの時はISOオートにしていたほど。
だが、いざスポーツの現場で使ってみると
どうもこの処理が、高感度ノイズを消すことは巧みだが、精細さ(シャープ)を
犠牲にしているのではないか、と思えてきた。
あくまで私の場合はだが、スポーツ選手を撮る時に
選手の髪の毛、距離によってはまつ毛やユニフォームの繊維まで
描写されていて初めて迫力が伝わる、と感じている部分がある。
しかし残念ながらX-H1で撮った写真では、それはほぼ皆無だった。
陰になっている黒い部分は黒くつぶれてしまっているところもあり
ダイナミックレンジの差もあったのかもしれない。
これではスポーツ撮影では使い物にならない。
部屋でXF14mmで撮った時の感動するほどの綺麗さとは
環境が変わるだけでこうも印象が変わるのか、と愕然とするほどだった。
ただし、あくまでこれは私の感想であり
メインで常用しているD5と70-200mm f2.8E FLや300mm f2.8という組み合わせとの
無意識での比較である点は強調しておきたい。
言うなればスポーツ撮影において国内どころか世界でも最高峰クラスの組み合わせと
決してスポーツ撮影のために生み出されたわけではないX-H1を
スポーツという土俵で比べるのはフェアではないだろう。
フジにはXF200mm f2という換算300mmでf2の明るさのフラッグシップレンズもあるし
その後X-T3という非常にスポーツ撮影に強いといわれるカメラも出ている。
これらの組み合わせならまた違った印象であろうとは思う。
だが、少なくとも、正直かなりガッカリしてしまったのは事実だ。
・XF50-140mmとの別れ
さて、どうやらスポーツ撮影ではX-H1は厳しいぞ、となった時に
今後のことを考えると幾つかの道筋が自分の中にはあった。
X-H1は小型ミラーレス機
(ミラーレスの中ではかなり大型だが、私の他のカメラよりは小型なので)
として街撮りスナップ、お散歩カメラとして活用する。
ニコンの2台がスポーツ用メインである以上
日常使いやドール撮影はX-H1に活躍してもらう。
そう考えていくと、気付いたことがある。
赤バッヂ、神レンズとして非常に人気のあるXF50-140mmだが
私の用途ではあまり使い道がないのだ。
X-H1に50-140を付けるとそれなりのサイズになるし
それを持ち出すならD5かD850に70-200を持ち出すだろう。
うーん、、、いらないな、、、
というわけで処分することにした。
70-200との比較、そしてスポーツ撮影での1回だけの使用である。
何とももったいないが、このまま保有していて使わないのも無駄なのだ。
そこでふと思ったのが、じゃあX-H1をちゃんと活用するために
他に何が必要か、を考えよう、ということである。
・XF80mmは天使か悪魔か
X-H1のそれまでのフジミラーレスとの一番の違いは
ボディ内手振れ補正、これに尽きる。
一眼レフ機では構造的に不可能といっていいので
多くの場合レンズに手振れ補正機能が付いているか
そもそも手振れ補正なんてないという機材で撮るかであるが
ミラーレス機はこの、カメラのボディ内に手振れ補正機能がある、というのが強みで
どんなレンズであっても手振れ補正付きで撮影できてしまうのだ。
X-H1も手振れ補正機能があるおかげで
それまでのX-T2やX-Pro2で微ブレしてしまったことで画質が落ちていたのが
無くなることで、センサー等は同じなのに画質面でも有利になっている、といった
論調をカメラ雑誌などでもよく見かけた。
この機能をフル活用すれば、これからもX-H1は私のもとで輝き続けるに違いない。
そこで、最も手振れ補正が欲しくなるものは何かと考えれば
それはやはりマクロ撮影だろう、という結論に至った。
マクロは非常に寄れる。つまり大きく撮ることができる。
大きく撮れば撮るほど、ブレも大きく写るわけで、要するに目立つ。
人間より小さいドールたちを、人間のように撮るためには
寄れるレンズがあった方がよく、中でもマクロは色んな場面で使える。
そこで色々と調べた結果、フジのマクロの中でも
換算120mmとほぼ望遠域のマクロ、XF80mmを手に入れることにした。
描写もよく、マクロ撮影できて、しかもX-H1なら
レンズ自体の手振れ補正とカメラの手振れ補正の合わせ技になる!
はずだったのだが…
どうにもこのレンズ、鈍いのだ。
鈍い、というのはどういうことか。
まず装着前の状態、購入して箱から取り出す時点で
カタカタというかガタガタというか、独特な揺れと音がする。
正直、初期不良か故障品が間違って届けられたか、と思ったほどだ。
どうも AFの仕組みのリニアモーターによる影響らしい。
とはいえ、これが仕様だ、といわれても買ったばかりのレンズがこの状態では
正直、気持ちの良いものではない。
さらに、装着後、カメラを起動すると独特のシューンシューンという音がする。
これはレンズのOIS(手振れ補正)の影響だと思われる。
さらに、電源入れた直後に、なぜかEVF(含液晶モニター)が
一瞬非常に明るくまぶしくなってから落ち着く。
これはこのレンズに限らず、X-H1を使いだしてから気になっていたが
どうもこのレンズの時はそれが酷い気がする。
恐らく、ミラーレス機なので
センサーが受け取った明るさを液晶(EVF)に反映させる際に
・カメラ自体がまず測光して適正露出を探る という作業と
・液晶やEVFに露出を反映して表示する際に明るさをオートで調整する という作業が
同時に起こっている過程で、起こる現象のようだ。
EVFの明るさを調整しない、といった設定にすることで若干緩和された気はするが
正直、納得いく状態には程遠かった。
さらに、このレンズ、致命的なほどAFが遅いし迷う。
使っていてけっこうイライラしてしまうほど、被写体を探してさまよう。
マクロレンズは元々MFで使っていたものもあるので
それならMFで合わせてみよう、と思ったがこれもなんだか反応が鈍い。
全体通して「鈍感・鈍い」という印象が付いてしまった。
ちなみに写りは繊細な上にやさしい描写で、キレキレのカミソリマクロよりも
こういった描写が好きな私は、非常に気に入っていた。
しかし、いかんせん、使うとするたびに、いや使おうとするたびに
けっこうなストレスを感じてしまったのだ。
これは私との相性の問題であり、レンズを責めるつもりはないが。
・結局のところ、私はX-H1を使い続けるのか
さて、こうなってしまうと考えは、X-H1をこれからも使い続けるのか、に至る。
スポーツでは使えず、マクロレンズもいまいち私と相性が悪い。
XF14mmでスナップを撮るのがメインであれば
それこそ35mmのX100Fでもよかったじゃないか、という気がしないでもない。
(実際非常に気に入っていたし)
ボディ内手振れ補正があるよ、と言われても換算21mmでは
よほど寄ったり絞り込んだりしない限りは、手振れは気にならないだろう。
レンズ交換式カメラである以上、レンズを買っていかなければ
あまり意味は無いのだが、XF80mmマクロで感じた印象がどうしても尾を引き
新たなレンズを試そう、という気にならなかった。
X-H1(とレンズ)を手放したら、今なら幾らで買い取ってもらえるだろう。
気が付けばそんなことを考えていた。
・結局行きついたのは最後のZ
X-H1を手放す、となったら、その後はどうするか、ということを考えていた。
D5もD850も今は無事に帰ってきているが
どちらも酷使していることには違いない。
先日はあまりメインでは使っていなかったD850ですら
1日で1万枚を超える撮影をしてしまった。
D850の耐久は20万ショット、購入した時から考えると既に10数万ショットに到達し
既に一度修理したD5ともども、またある日突然故障することも考えておくべきだ。
そうなると、いざという時に、簡易的にでも代替として動く機種が良い。
具体的には、代替の為にまたレンズまで買いそろえる
という必要がないように、マウントが共通していれば助かる。
とはいえニコンFマウントの一眼レフはD5・D850があるのに
さらに3台目を買おうという気にはならない。
となると、やはりあれかな…ということで
結局行きついたのはニコンのフルサイズミラーレス、Zである。
実はニコンZ7の発表があったファンミーティングには
ニコン党の友人と赴き、それまで自分が体感したミラーレス機の中では
もっともEVFの出来がいい、という風に感じていた。
X-H1でかなりストレスになったのがこのEVFであるだけに
そのミスだけは避けたかったので、そういう点では安心感があった。
Zには高画素のZ7と高感度に強いZ6があるが
D850があるのに高画素のZ7を買う必要性も感じなかったし
あくまで普段は気軽にスナップなどにも使えること、というのを
優先すると、2400万画素のD6で十分、という気がした。
この2機種はセンサーが違うだけでボディの作りなどは全く同じ。
普通これだけ価格差があるとボディの作りにも差が出るのだが
驚くほど質実剛健な作りはZ6も共通なのだ。
ZならFTZというマウントアダプターを使うことで
既存のFマウントレンズがほぼ制約なく使えるし、いざという時には
応急処置的にD5やD850の代替として使うこともできるだろう。
バッテリーはD850と共通、メディアはD5とD850の半分と共通のXQDなので
私自身に関してはその点の初期投資も全く必要なかった。
なにより、ニコンFマウントのオールドレンズ等MFレンズを使う時に
D5やD850のファインダーがいかに優秀とはいえ、目の悪い私には
MFで確実にピントを合わせるのが非常に困難だったが
Z機ならEVFで拡大したりピーキング撮影でピント位置を掴みやすい。
つまり、今までよりもっと使いやすくなるはずなのだ。
そんなわけでもはや迷いはなかった。
購入価格は忘れて、X-H1とレンズ類をまとめて下取りに出せば
ほぼ等価でZ6は手に入るのだ。決断した。
(もちろんここに至るまでけっこう悩み、ニコンのショールームに行った際には
これでもかとEVFの粗探しをした上で、これなら良しと思えた)

何本かMFレンズを持っているが、中でもお気に入りのタムロン52BBを早速
さて、そんなわけで本日無事にZ6が届いた。
一眼レフを思えばコンパクトなボディだがグリップは深く
握り心地は悪くない、電源スイッチの角度がちょっと違和感があって
力が入りづらい気もするが、誤作動は防がれていそうだし許容範囲だ。
操作系統はニコン慣れしている私には、大した差はなくすぐに慣れそうだ。
ファインダーはやはり悪くない。
まあこれなら、さほどストレスを感じず使えるだろう。とひと安心した。

早速上の装備でコリーンさんを撮ってみた。
若干ピントがあまいので、もう少し慣れながらトライ&エラーしていきたい。
かくして、私の長いようで短いX-H1との日々は終わりをつげ
手元にはZ6が残った。
繰り返しになるが、X-H1の映し出す画は本当に素晴らしかった。
各種設定も直感的で分かりやすく、ダイヤル操作は気持ちよく
本当に良い部分がたくさんあった。
しかし、あくまで私の用途では、どうしても粗が目立ってしまったのも事実なのだ。
実は最後までフジの中判ミラーレスGFX50Rと悩んだ。
しかし、いざという事態の時に、スポーツでピンチヒッターを任せられるか
というのがX-H1でつまづいた点でもあったので、一応動き物にも使え
何よりレンズが使いまわせるZ6にした。
今後きっと不満点は見つかるだろう。
D5と無意識に比較して納得いかない部分もあるかもしれない。
でも、とりあえずは、サブのサブという立ち位置で
今の自分にとっては悪くない選択肢を選んだ、そう思いたい。
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