数日前に書いたように、久しぶりにフィルムカメラで撮影してみた。
Nikon F3 HP
当たり前だが、フイルム写真は撮影してもその場ですぐに写真が見えるわけでも こうしてアップロードできるわけでもない。
基本的には1本24枚とか36枚とかのフイルムを使い終え 現像処理を済ませるまではどんな写真が撮れているのかもわからない。
極端に言えば、カメラが不調だったり自分のミスだったりで 1枚も写っていない事すら有り得るのだ。
とはいえ、それをのんびり待つわけにもいかない。 なぜなら今回は(MFレンズしか使えない)カメラのテストを兼ね そして何より私が非常に久しぶりのフイルムカメラでの撮影テストも兼ねている。
デジタルでのMF撮影はそれなりにやっているが
撮影時にピントがどこに来ているか親切にカメラが教えてくれるわけでもなく
その場でチェックしてピントが甘ければ撮り直せるというわけでもない。
一体自分がどれだけまともに撮れているのか どんなミスが飛び出すのか……不安は尽きない。
フイルムは現像するまでどんなふうに撮れているか分からない そこが楽しい
なんて言っている場合ではない、少なくとも1本目のフイルムは 95%はテストの意味で撮っているのだから。
というわけで早急に1本目を家の周りで撮り終え (それでも思った以上に時間がかかった、ほんの24カットだというのに)
近くのカメラ屋さんに現像に出してきた。
昔はカメラ屋さん内に現像スペースがあり スピード現像のお店なら1時間程度で仕上げてくれることもあった。 つまりネガを渡して1時間もすれば現像も終わり、場合によってはプリントも済む。
が、残念ながら私が出したお店では
既に店内で現像は行っておらず、窓口として受け付けたうえで
別のお店に送るという形だったため、数日かかるとのこと。
そんなわけで数日経って本日無事に受け取ってきた。
ちなみにだが私は今回 ネガの現像とデジタル化したデータの受け取り という形で依頼した。 昔であれば現像+プリントという形で すぐに手に持てる写真にして持ち帰るのだが 昔と違い写真が貯まってっていっても保管にこまるだけなのと 結局SNSやブログに使うには不便なこともありプリントは省略し デジタルデータとして受け取った。 なおD850を使えば、現像したネガをマクロレンズを使って デジタルデータとして撮影することもできるし 家庭内にフイルムスキャナーや対応したスキャナーがあれば それらを使ってネガからデジタルに起こすことはできる。
さて、F3での初めての撮影はどうだったか。
全部ではないが、アップしてみたのでここを覗いてみて欲しい。
ちなみに使用フイルムはkodak UlatraMAX 400
使用レンズはAi Nikkor 55mm f/1.2
Voigtlander ULTRON 40mm f/2
Voigtlander Nokton 58mm f/1.4
辺りだと思うがなにせデジタルと違ってexifがなく、メモなど取っていなかったので 正直全てを把握はできていない。
他にF3で使えるレンズとしてはTamron 90mm f/2.5 52BBや Meyer-Optik Gorlitz Primoplan 75mm f/1.9、Milvus 50 F2M等がある。
少なくとも、何も写っていないだとか ピントが全く来てない、ブレ過ぎて見れたもんじゃない、ということはなかった。
カメラ側も何も問題はなさそうだ。
若干露出計の精度に不安はあったが大きな問題は感じない。
(細かい部分で現像するときに何らかの調整をしてくれたのかもしれないが 極端に黒くつぶれたり白飛びしまくっているものはなかった)
つまり、カメラも私も何の問題もなかった。
今後もこのカメラを使える事も、私自身がフイルムカメラを使える事も確認できた。
あらためて前回の内容に戻るが、フイルムカメラは私の原点である。
しかしあまりに遠く離れていた原点である。
それは例えば誰かにとっては20年前に卒業した学校のようであり また誰かにとっては、半ば決別するように飛び出してきた故郷のようなものかもしれない。
フイルムカメラを使う、改めてそのことについて考えてみた。
デジタルネイティブである今の学生世代には 逆に「写ルンです」が新鮮に感じる、と聞いたことがある。
インスタグラムなどの写真投稿SNSでは 最新のスマートフォンで撮った鮮明で高精細・高彩度な写真を あえてアプリでセピアカラーにしたりノイズを載せる加工をするケースもある。
光を切り取るカメラという機械において フイルムであるとかデジタルであるとかはあまり関係は無いのかもしれない。
また逆に、フイルムカメラとデジタルカメラは 全く別物だと感じる部分もある。
共通の部分を感じたいのか、違う部分に触れたいのか
私がフイルムカメラを再度手にした動機はどこにあるのだろう。
私は前回の記事で、原点回帰という言葉を使った。 カメラと改めて向き合うために、写真を撮る事に立ち返るために 原点に戻ってみる、視点をリセットしてみる、そのきっかけにF3を手にした。
しかしフイルム1本を撮り終え、現像した写真を見て 少なくともこれは、私が初めてフイルムカメラを使った頃の写真とは違うと感じた。
良いとか悪いとかではない。
細かくは覚えていないが例えば20年前に撮った写真と 今の写真は、似ている部分もあるが全く違う部分があって当然だ。
機材が違い、経験が違い、私自身が変化している。
原点に回帰したとしても、私自身が当時に戻れるわけではない。 久しぶりに母校の小学校の教室に入ったとしても、私が小学生に戻るわけではない。
今の視点を持って、今の私が原点に戻る、これはこれで素敵な事なのではないだろうか。
Nikon F3とフイルムは、私になつかしい教室の鍵をくれたのかもしれない。
Comments