京都山科の春秋山荘に、人形作家・中川多理さんの個展を観に。 マリアの心臓で多くの人形作家さんの作品を観た中で 最も私の心を掴んだ、いや、私の心に入り込んだのが 多理さんのお人形『 杏子 』さんで、それからというもの 私は多理さんとそのお人形さんの大ファンだ。 人形、ドール関連のイベントや展示はほとんど毎回独りでいく。 人形たちと向き合うのにはその方が良い気もするし
でもやっぱり少し寂しい気もしていた。
が、今回は幸いにして同行して下さる方がいて
道中撮影などしながら、楽しく行くことができた。
春秋山荘は名前の通り、山側にある。山の中と言っても良い。
とはいえ歩けないような道があるわけでもなく、街の中から山側に向かって
なだらかに上がっているうちに、気が付けば舗装路の横に川と森が広がり始めている
そんな場所にある。

いわゆる紅葉シーズンは終わっていたが、苔むした木や落ち葉が
非常に美しく、初冬の山間が持つ静かな雰囲気とマッチしていた。

少し、陰惨とした雰囲気ではあるが、都会の喧騒よりずっといい。 心が落ち着き、浄化されていくような雰囲気すらある。
ほんの少し雨がぱらつき始め、嫌な予感はしたが、どうにか天候も持ち堪えてくれた。
残念ながら、展示そのものは撮影できなかったが 今回の展示「物語の中の少女」のタイトル通り、文学小説の中の
登場人物から想起して作られた人形たちの放つ空気は圧倒的で
思わず私は物語の中に引き込まれたような錯覚すら覚えたのだった。

以前にも来たことがあるのだが、この山荘自体の雰囲気も素晴らしい。
京都・大原の『マリアの心臓』にも通じる、人間の世界から少し外れ
人形たちの世界に迷い込んだ、そんな空気が漂う空間になっている。
実は以前、twitter上で多理さんと文学(フリオ・リャマサーレス)について
少しだけお話させて頂いたことがあるのだが、そういった縁も含め
今回は文学世界と人形の世界、そして現実の私とが 同じ空間に存在しているような、不思議な感覚を味わうことができた。

展示は撮れなかったが山荘の周りを撮るだけでも、雰囲気があって素晴らしかった。
こういう時、その場の空気感を写真に残せるかどうかは
機材、主にレンズの影響が非常に大きいと私は思う。
愛用しているニコン純正105mm f1.4と58mm f1.4はボケ方が美しく
まさに自分が見た情景を切り取っているような感覚でシャッターが切れるのが良い。
その後、同行して下さった方と、京都で食事とお茶をした。
楽しい時間はあっという間にすぎるもので、もっとお話もしたかったし
もう少し撮影も、という話もあったのだが、結局気が付けば時間が過ぎていた。
人物写真は勝手に載せることはできない(しない)ので
いずれ何かの機会に目にすることもあるかもしれないが
前回、今回と、自分が大好きと思える写真が撮れたことは嬉しい。
写真を観るのが好き、カメラが好き、である自分が
その間を繋ぐように、自分が好きな機材を使って撮ったら
自分で観て好きだと思えるものになった、というのは
ひとえに被写体になって下さった方のおかげである。
後はご本人さんにも喜んでもらえれば言うことないのだが
こればかりは私から言えることは何もないのだ。 さて、今年も後はスポーツの大会1つを残すのみ。
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