ごちゃごちゃ言わんとどれが一番すごいレンズか決めたらええんや
どうでも良い写真はとことん手抜き
と、プロレス好き意外には分からないであろうコメントから入ったうえに 今回もごちゃごちゃ言います。そういうブログなので。
さて、写真を撮っておられるみなさんは それぞれに「よく使う焦点距離」というのがあると思います。
35mmや50mmという方が多いんでしょうか あるいはポートレートの王道85mmも人気がありそうです。
私はといえば、ジャンル問わず依頼を受けて撮るカメラマンなので色々使います。 最近は8mm魚眼から400mmまでレンズもあります(それ以上の超望遠は使いませんが)
でも枚数比でいうと、一番使うのは恐らく200mmじゃないかなと思います。 スポーツだと70-200と328の組み合わせで挑むことが多く 300mmと200mm、ほぼ同じくらいの割合かなと思いますし 70-200はスポーツ以外でもけっこう使うレンズなので。
そこで今回の企画(?)を思いついたのです。すなわち、200mm頂上決戦。
エントリーしたのは上記写真の4本、販売開始順に並べてみます
AF-S NIKKOR 200mm f/2G ED VR II 2010年10月
AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR 2016年11月
AF-S NIKKOR 120-300mm f/2.8E FL ED SR VR 2020年2月(29日)
NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S 2020年8月(28日)
いわゆる大三元レンズのFマウント現行型の70-200 f2.8E
出たばかりのZマウントZ 70-200 f2.8
今年の目玉、恐らくオリンピックレンズとしての活躍も期待されていた120-300
そして唯一無二の存在感を放つ200mm f2、通称ニーニー
果たして栄冠は誰の手に…
とはいえ、雑誌や研究・開発所のようなテストをしても意味がないので 非常にざっくりとした手持ちテストを
こんな感じで廊下の端(直線距離で約5m)に置いたコーヒーのパッケージ2つ
1つは中央付近、1つは隅において周辺画質を見ていく…
が、あくまで実使用に近づけるため、三脚は使わず手持ちで。 これによって手振れ補正の効きの差も分かる、はず。 なおカメラの方は、あれこれ変えると左右されそうだったので すべてZ6にしました。(FマウントレンズはFTZを噛ましてます)
とはいえ窓のある廊下で明るさもころころ変わるので 本当に参考になるかならんかと言ったレベルのテストですが。
で、本来ならここから画像を並べたりしながら比較していくんでしょうが なにせ私は生粋の面倒臭がり。 画像並べたり、レンズ名を端っこに入れたり、そういうのは他の人に任せます。
で、ざっくりとした印象と、少しだけ写真も載せるかも。
ではスタート。
まずニーニー、唯一のf2レンズで開放からキレキレと昔からよく言われる 何とも特別なレンズの1つですが、いざテストしてみるとかなりブレる。
(条件を揃えるためにf2.8まで絞りました)
このレンズの手ブレ補正効果は約3.0段、だが薄暗い廊下では f2.8 ISO100でシャッタースピードが常時1/15sくらい。
3段で考えても1/120s、うーん、200mmで1/120sなら行けそうなんだがなーと思いつつ 何度かトライしてみるも、等倍表示した時の微ブレはほぼ消えなかった。
f2開放でシャッタースピード稼いでもこんな感じ。 というかピン甘?サービスセンターにメンテ出してピントチェック、調整してもらったばかりなんだけどな…言っても10年選手だもんね…
とはいえ、このレンズがダメじゃん、という話ではなく、こういう使い方をするレンズではないですね(そもそも1/15sとかで200mmをテストする私がどうかしている)
続いてFマウントの70-200 f2.8E
ニーニーから付け替えるとさすがに軽く感じるし E型はFLレンズの配置でバランスが非常に良いだけに 本体小さすぎて(レフ機と比べて)使いづらいZ6でも違和感なく持てて良い感じ
うん、ニーニーのようなブレは無く良い感じ
ただこれも若干のピン甘というか解像力不足でぼやけた印象にも感じる
十分高水準ではあるんだけどね、まあ現場で何度もぶつけたり立てて倒したりしてるし 仕方ない範囲という事で。このスピードでも手振れ補正は聞いてるのが頼りになる。
手ブレ補正効果は公称4.0段、ニーニーから6年後に出ただけあって色々進化してますな。
さて、Fマウント最後の砦、ということで今年出たばかりの120-300 f2.8をいよいよ投入。
以前購入直後に AF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR IIと比較して、あらゆる点で超えた、と 感じてしまったことで、長年愛用していたサンニッパを手放すことになった。
ちなみにこのサンニッパはニーニーとほぼ同時期の2010年1月末発売である。
いくら10年間の歳月、そして販売開始当初には 実売価格で倍近い差が付いていたとはいえ、望遠単焦点の王様を下す鬼ズーム。
これ、ブログ画質でどこまで伝わるか分からないが 見た瞬間に「あ、違う」と感じるくらい前の二本と明確に差があった。
というかこのレンズのVR(手振れ補正)は本当にすごい。 サンニッパとの比較でもそれを一番感じたし、サンニッパは重量バランスもあり 状況次第では1/500sくらいでも微ブレしてしまうことがあったのだが これはそういうこともなく、どんな現場でも安心して使えそうだ。
解像力、ピント精度ももちろん問題はない。 今回の4本の中では一番お高いのも納得、しかもここから さらに300mmまでズームできてしまうのだからなんとも汎用性の高いレンズである。
最後はZマウント用の出たばかり、Z 70-200 f2.8
なにせテスト機がZ6なので、アダプターもいらず一番しっくりくる。
重量はFマウントのf2.8Eと変わらないが、マウント径が太いのもあって 装着時に妙にしっくりとした安心感がある。
おお!と言いたくなるキリッとした描写。 もちろん手ブレも無く、NIKKORレンズ史上最高の5.5段補正を謡うだけある。
解像力もこのレベルのテストなら120-300と同等と言っていいんじゃなかろうか。
で、一応周辺も見てみるがこちらはさらっと
F2.8E やや収差で滲みが出ているような印象
120-300
っていうか、コサインで被写界深度から外れてない?
Z 70-200
うん、どうもそうっぽいね、物を置く時はもうちょっと丁寧にしましょう。
と、これで終わるとさすがにあれなのでもう少し真面目に見ていくと
画角の差があるのはフォーカス方式含めそもそもの設計がかなり違うので仕方ない。
(120-300の事を考えれば6m以上離れた被写体でやったほうが画角は整えやすかった)
同じややボケ、滲みにしても、小さい文字を見ていけば差異はあり、順位としては Z→120-300→E型 という感じだろうか。
ざっくりまとめると
マウント径の強みもあり、さらに最新設計、SRレンズ採用のZは中央も周辺もVRも強い。
そしてFマウントながらこれでもかとできることをすべてぶつけてきたような (ニコンの328が10年更新されていないのもこのレンズにかけたからではないか、とさえ思う)
120-300もまた驚くほどすごい。(しかも300mmまで使える、ただし値段も重量もすごい)
70-200 f2.8Eは発売当初に予約購入してから4年弱使い倒してきて 本当に満足度は高いのだが、こうして比較してみると、随所に最新型に劣る部分が見える。
もちろん今でも高性能で非常に使い勝手の良いレンズであることに変わりはないが。
とはいえ、カメラ側で考えれば、ZはまだZ6/Z7、そして最近出たばかりの やや簡易版Z6のようなZ5とAPS-CのZ50のみである。
Z 70-200がいかに高性能でもこれを付けて長時間集中して使えるカメラがあるか と言われれば、私はハッキリNOだと言ってしまう。
そういう意味ではD5やD6に70-200 f2.8Eを付けた時の安定感 取り回しの良さは大きな武器だし、120-300でもバランスは良い。
ニコンさん、ZマウントになりFマウントの呪縛から解き放たれただけでなく 今でもFマウントの新型でここまですごいレンズが作れることに感服しました。
ですから、どうかZに本格的なカメラを出してください。
そりゃ小型軽量であれば運搬はラクです。
バックパックにD5とD850と各種レンズを入れた時は、毎回縦グリップ外してました。 Z6なら隙間にポンと入り込めます。
でも、レンズにカメラがくっ付いてるようなバランス感で 長時間、大型レンズを使うのは逆に疲れます…
どうか縦グリップ採用、あるいは付けられるZ機を!
追伸・今回のテストでは出オチ状態だったf2だが 200mm f2ならでは、という独特の画は比類なき存在であることに変わりはない。
今後Z用に新200mm f2が出る、とは正直現状では思えないが 個人的にはそういう事も視野にいれて、開発していってほしい。
他社でなくニコンを選ぶ理由のレンズ、になるかもしれない。
(先にキヤノンさんにやられそうだけど)
あけましておめでとうございます。200mmの頂上対決興味深く拝見させて頂きました。
300mm単や120-300mmの仕様がZにはまだなくロードマップ上も空白領域です。
今後の展開に期待しております。