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初冬の大阪で紅葉と出会う

先日、大阪にて縫々王国ナカノカナさんとの撮影を行ってきた。


前回試験的な撮影を行い、ぜひこれからもと言って頂いたこともあり 氏のボタンウサギさんたちと、四季折々の撮影をしていきたいですね、と。

とはいえ、季節は初冬、紅葉の時期も終わりつつあり かといってまださほど寒くはない大阪では雪景色などが撮れるわけでもなく 都会の景色が狙いで無ければ意外と難問かもしれない、と思いつつ。



さて、とはいえ少し打ち合わせた段階で、やはり紅葉のカットは欲しい ということで、線路の高架とビルの合間に植えられた、街路樹のちょっとした紅葉を どうにか使えないかと思案してみた。


人間の視野よりも、はるかに狭い景色を切ることができるのはカメラの面白さでもある。


一番上の枝が重く鬱陶しいが、画角に苦労した感も出ていて面白い。 D850にAF-S 58mm f/1.4の組み合わせは、やや不思議な描写が作りやすい。 そこそこ新しいデジタル機材でありながら、いわゆる最近の流行というか もはや基本となりつつある「周辺まで高解像」な描写とはかなり違う。


特に開放で使えば、ピントがどこにあるのか探すのも迷うような 芯の無いというと言い過ぎだろうか、とにかく妙な描写になる。 しかし、ピント位置のその後ろは更にボケるので立体感は出る。


あえて背景色被りをしても奥行きを感じるのは あくまで2次元である写真で、3次元のものをどう写すかを考えて作られた これこそがニコン曰く「3次元ハイファイ」的な描写なのだろう。



さて、そんなわけで狭い街路樹のほんのわずかなスペースで紅葉写真を撮ることに。

ボタンウサギさんは人間より遥かに小さいため、こういう時に非常に助かる。



これはわずか1.2mほどだろうか、ほんの少しの道を利用しての撮影だが 角度とレンズのおかげもあって、周囲をカットして撮ることができた。 もしこれが人間のポートレートだったら、ロケ地探しからやり直さなければならなかっただろう。 狭い範囲であっても、切り取り方で十分に紅葉バックの写真を撮ることができる。


この時の機材はD850にAF-S 58mm f/1.4で、2.5まで2段近く絞っている。 このレンズは開放時の描写と絞った時の描写が全く違うので 撮る時はどれくらい絞るか考えるのも楽しい。

もちろん開放ならそれはそれで違った描写の違った良さがある。



ちなみにこのジーナちゃんに枝を持ってもらったのはナカノさんのアイデアで なんというか、さすがである。

私はカメラマンだが、こういったポーズや小物を使うのはどうにも疎く 今回ナカノさんにはこうしたスタイリスト的な役割や、ライティング機材を使う時に ディフューザーを持ってもらったりと、アシスタント的なことまでやって頂いた。


正直、私はカメラとレンズを選択して設定を選ぶ、ということに関しては これまで培ってきた経験があるが、それ以外の点を補助してもらえるのと そうでないのとでは大きく違うので、非常に助かっている。


なお、今回の機材はカメラはD850とZ6 レンズは105mm f1.4E、58mm f/1.4G、Milvus 50 F2M(ほぼ使用せず) あとはミラーレス用のZマウントレンズ 85mm f1.8と14-30mm f4である。

それにSB-5000というスピードライトも、D850からワイヤレスで飛ばして使用。



個人的にもドール撮影をすることが多いので、人間より小さな被写体を ポートレート的に撮ること自体は慣れている。


焦点距離が長めのレンズが多いのは、やはり背景を整理しやすいからで 例えば幻想的な世界観を作りたい時に、信号機や道路標識を切るにはレンズ選択は大切だ。


もちろん、長ければいいわけではないので 例えば200mm f2などの望遠単焦点レンズを使うことはほぼないが。 (使い方によっては面白そうだが、あまりに大きく重いので普段から持ち歩くことは無い)






さて、その後ギャラリー巡りのようについつい寄り道を楽しみながらも 場所を変えて撮影は続く。

被写体が小さいということは、相対的に(人間目線よりも)世界が大きいということだ。



つまり、ほんの少しの庭であっても、広大な森やジャングルに見せることもできる。

探検家のジーナちゃんらしく なんだか森の奥で遺跡探検でもしているように見えたなら嬉しいのだが。


D850にAF-S 105mm f/1.4E、開放でもバリバリ使うレンズだが この時はf1.6と1/3段だけ絞っている。 右端に陰の部分が来ているので、開放の周辺減光で潰れてしまうともったいない気がして 気持ちだけ絞ったが恐らく開放とほぼ差はないだろう(現像でどうにでもなる範疇)


ピントの芯と背景ボケ、前ボケのバランスが美しく、常に持ち歩きたいレンズの1つ。

58mmと同じ3次元ハイファイの1つということだが、特性は全く異なるレンズでもある。

ニコンの言うことは分かるようで分からないことも多いが、だが面白い。





その後、冬らしくイルミネーションを探すが、意外とこれが難しい。

考えてみればイルミネーションは、人間の目線以上に飾られることが多く

ボタンウサギさんたちをそこに写し込むのは脚立等を使わないと難しい。


そもそもそんな道具は持っておらず、一般の通行路などでさっと撮るには 少し難易度が高かったので、帰路につくため駅に向かいながら 使えそうなスポットで少しずつ撮ってみた。

結局、半ばあきらめて次の機会にという話が出だした駅目前で最後のスポット発見。


イルミネーションを玉ボケにするには、というのは恐らく撮影のコツみたいな本や サイトで出てくる代表的なテクの1つだろう。 ただ、ボケが綺麗に玉形になるか、レモン型になるか、というのは レンズの特性によって異なる。これを口径食という。



これはZ6にZ 85mm f1.8を使っている。

なんとも使い勝手の良いレンズだが口径食は出ており綺麗な丸型にはなっていない。

とはいえ、条件に制限のある中で、イルミネーションシーンという項目を達成できた。


あまりネタ晴らしをしても興ざめなので、どこでどんな風に撮ったかは触れないが

限られた時間の中で、制限のある状況での工夫というのは 難しくはあるのだが、私の性質には合っているのかもしれず、非常に楽しく挑戦できた。



なお、このシーンどうしても色々と難しさがあって ボタンウサギさんたちがちょっと左に寄ってしまったわけだが ナカノさんからは「ここに文字を入れて使うこともあるかもしれない」と言われ 目からうろこであった。


この写真がどうというよりも、確かに展示の案内でDMを作ることもあるだろうし

スペースを使う、スペースがあった方が良い、そんな写真もあるという視点が 自分には無かったことを痛感したのだった。


やはり自分一人では気づかないこと、見落としがちなことに気づけるというのは

ありがたいし、そこから得たことをこれからきちんと活かしていきたい。

そんなわけで、今回の撮影はおしまい。 これ以外にも幾つか面白いカットも撮れたので、ひょっとしたら そちらの写真もまたお目見えすることがあるかもしれない。

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