ライティングを基礎から考える話
- Giro

- 2月7日
- 読了時間: 5分
フリーのカメラマンをしていると、どんな依頼にも応えねばならない。
といっても、無謀なことを請け負ってクライアントをがっかりさせるのは避けたいので
それは無理ですね、とか、そういう内容ならもっと適任がいますよ、となる事もある。
そういう意味で、これが得意、というよりも、苦手なものの方が分かりやすい。
例えば、私はポートレートも撮るが
屋外で自然光メインで撮るのと
スタジオでライティングを組んで撮るのだと後者の方が苦手だ。
なぜなのか、と客観視してみる。
※ なお本記事では「ライティング」という言葉を何度か使用しているが
これは発光源を追加する照明機材という意味がメインだが
レフ板なども含めた、自然光オンリーではない状態全体を指すものと思ってもらいたい。
まず、カメラを使う、写真を撮る、ということ自体のアプローチの仕方も人それぞれ
色々あるだろうとは思うが、私の場合は感覚よりは組み立て重視。
それも、自分の中でイメージがあるわけではなく、あくまで依頼者の希望・理想に沿うため
なので要素は少ない方が絞りやすい、というのがある。
ステージ写真を撮る時には、ライトは使えないし
自分がステージ上に上がることもできない。
最初からできない、してはいけないことが多いと
できる中で組み立てることになるので、要素としてはシンプルになる。
とはいえ、ライティングのない(要素の少ない)撮影の場合でも
撮影の組み立てはかなり複雑だ。
「こういう写真」というゴール(クライアントのイメージ、理想)があって
そのためにはこのレンズ、こういう設定、という感じで詰めて組み立てていく。
自然光メインの場合は「光」に関しては固定された部分が多く
それをこのゴールのためにはどう利用するか、という形での組み立てになる。
が、ライティングを自分で組み立てることも選択肢に入れる
あるいは前提となると、この組み立てが尋常ではなく複雑になる。
ライティングについて調べたことがある人は分かるだろうが
シンプルに明るくする、これだけをとっても選択肢が非常に多いからだ。
例えば被写体の顔を明るくする、これで幾つ思いつくだろう。
仮にカメラとレンズだけで考える場合は
「露出を上げる」が基本で、その方法として
・ISOを上げる
・絞りを開く(より絞り開放値の小さなレンズを使う)
・シャッタースピードを落とす
の3つがあり、それらの組み合わせを考えることになる。
もちろんカメラのポジションやアングル、光源(例えば太陽)との位置など
これだけでもかなり工夫はできるし選択肢も多い。
仮にここに、レフ板一枚を追加するだけで
レフ板の位置、角度など、要素は一気に増える。

上が逆光で普通に撮った状態、下はレフ板を手前に置いた状態
こうした逆光時にはレフ板を追加するだけで、表現は大きく増える
これをレフ無しで、単に黒いところを明るく写すように露出設定を変えると
背景は白く飛んでしまうだろう
これに照明機材を追加するとなると、その選択肢は足し算ではなく掛け算になるし
2灯3灯と増えて行けばべき乗、指数的な増加をすると言ってもいい。
仮にクリップオンストロボを1つ考えてみよう。
それまでが、カメラの位置、角度だったのが
レフ板が加わると、レフ板と被写体の位置、角度の話も増える。

私が使っているクリップオンはProfoto A1X
ここにクリップオンストロボを仮にオンカメラ使用で、というのが増えるだけで
クリップオンストロボの照射角、発光量なども増え
さらにレフ板を使うならそのライトに対してどうアプローチするのか、と
それぞれにそれぞれの要素が重なり合って、組み合わせ量は相当増える。
イベントやウエディングフォトなど、迅速性・起動性が求められる現場では
常にオンカメラで使う事が多いが、スタジオポートレートとなれば
当然オフカメラも選択肢に入る。
オフカメラで使うとなると、当然シェーピングも考える。
ソフトボックスとかアンブレラとかのああいうライティング機材である。
と、もうここからは膨大な選択肢が押し寄せてくる。

Profoto B10 と100cmのアンブレラ
Profotoには150種類のシェーピングツールがあると言われている。
もちろん、光を集中させたいのか拡散させたいのか、といったような
明確な違いがある場合にはその選択肢で迷うことはないだろう。
とはいえ、光をまとめて拡散させないという趣旨の中でも
スヌート、リフレクター、グリッドなどなど
光を拡散させて面光源を作りたい場合には
アンブレラ、ソフトボックス、ビューティーディッシュ、レフなどなど
挙げればきりがないほど。
しかもこのアンブレラというのも
・白か銀か(金もある)
・サイズは60cmか80cmか150cmか…
・ディフューザーは付けるのか
・そもそも反射型じゃなくてトランスルーセント(透過型)なのか
といった機材的な選択肢がまず多い。
そしてそれを使う上で、どの位置、どの高さ、どの角度から
どの程度の距離感でそれを使うのか
その時の発光量は…?
と、設置と設定の組み合わせが膨大で
もはや天文学的な組み合わせとなる。
全部を試せるわけもなく、しかも試した結果
この光とこの光、結局今回はどちらがいいんだろう、というのも
分かりやすく答えが出ないこともある。
そんなわけで、ライティングも含めた組み立ては
私のアプローチの仕方だと、かなり複雑化してしまう。
もちろん写真家さんが、自分の中のイメージのために
組み立てるのであれば、それはまた違ったスタートでありゴールになるだろうから
むしろライティングありきで撮っている、という方もおられるだろう。
色々な撮影をしていてつくづく感じるが
常に集中して一瞬も気が抜けない、ミスが許されず撮り直しができない
というハードルはあるにしても、スポーツの撮影は
いたってシンプルで良いなと思う。



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