9月の頭に愛用しているメイン機であるD5が壊れた。
シャッター周りが寿命を迎えて締まったようで、ミラーが上がりかけ途中で止まり
それ以上シャッターも切れず、どうしようもない状態になってしまった。
幸い、D5は購入する時に長期保証に入っていたので、修理に出した。
ありがたいことに10万円を超える修理費用は無料となり、4週間後には手元に帰ってきた。
しかし、それは結果論である。
当時の私は、スポーツ撮影の予定を幾つか抱えていて
D5が無くなった(しかもタイミングの悪いことにサブのD850もメンテに出していた)
そんな状態では、全ての予定をキャンセルしなければならない。
しかし私はカメラバカなのでこう考えた。
「いや、こういう時こそ、スポーツでも使えるサブ機を手に入れよう」
そう、何かに理由を付けてカメラやレンズを買いたいのである。
普通に考えれば、既にレンズ資産があるニコンFマウントの中で選定すべきだ。
高感度ノイズの少なさに定評のあるD750か、スポーツ特化ということでD500か。
しかしD500は以前に所有し使っていたことがある。D750もだいたい予想が付く。
それではおもしろくない。
ということで、ここらでいっちょ、世の中の流行りに乗って
ミラーレスとやらに本格的に手を出してみようかい、ということになった。
といっても、私もミラーレスを全く使ったことが無いわけではない。
友人から借りた、といったことを省いても、数年前にはニコン1を使っていたし
ペンタックスのQ7で遊んでいた時期もある。
レンズ交換式ではないが、スナップやお散歩用のフジのX100Fも愛用していた。
しかしスポーツでも使うという前提となると色々と勝手が違う。
センサーサイズが小さいm4/3機は選択肢に入れづらいし、ある程度の明るさで高性能なレンズも要る。
検討開始。
ソニーのα6500? いやあ、どうだろう。
私は以前何度か真剣に購入を検討してソニーのミラーレスを触ったことがあるが
グリップやインターフェイスの「しっくりこない」度合がすごかった。
完全に私見だし好みの話なので、良い悪いという話ではない。
私の手に馴染まなかった、というそれだけだ。
しかし、主眼はスポーツ撮影である。
スナップと違って、何時間もカメラを握りっぱなしということもざらなのだ。
手に馴染まない、では困る。
それなら、X100Fの画が大好きなので、フジのミラーレスで良いんじゃないか?
と自分の中で何かが囁いた。ゴーストかも知れない。
そういえばX-T20とかフラッグシップと同じセンサーなのに安いんだよなー。
X100Fと同じ画が出るだろうし、レンズ換えられる楽しさもあるしありかもなー。
だのに、数日後私の手元にはX-H1が来ていた。
いや、キャッシュバックキャンペーンやってましたし。
真剣な話としては、実は当時、私はニコンからついに出る
フルサイズミラーレス「Z7」の予約をしていた。
センサー的には恐らくD850と同じだろう。
何が違うか、ボディ内手振れ補正が付いている。
いる? いや、別に。
とは言いつつも、あることでどう違うのか興味があった。
実際D850でも本気でしっかり撮れば、手振れはめったにしない。
ただ105mm f1.4みたいなレンズを使ってポートレートを撮る時は
毎回失敗しないか冷や冷やしている。
気軽にサクッと撮っても全く手振れしないのなら、それって結構魅力的かも?
300mm f2.8みたいなレンズだと、レンズに手振れ補正が付いているとはいえ
条件次第でけっこうブレやすい。それも緩和されるかも?
ただ、結局、ボディ内手振れ補正のある機種を使ったことない自分にとっては
すべて机上の空論なのだ。
使ってみよう、Z7出る前に。
ということでのX-H1だった。
で、結論から言いますと、、、、スポーツで全く使い物にならない!
いわゆる70-200f2.8に該当する、 XF50-140mmF2.8 R LM OIS WRまで買ったのに!!
APS-CだからISO上げるとノイズが、とか
そもそもレンズの解像力がそこまで高く無くない?とか
( NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VRと比較しての私見です)
色々あるんですが、一番はEVF。
当然、背面液晶ではなくファインダー覗いて撮るわけですが
薄暗い中で左右に振るスポーツだと、EVFのコマ落ちがすごいストレス。
常にコンマ何秒遅れて表示されてるのを実感しながら撮るので
目が疲れる、そして頭が痛くなってくる。
そして明度差のある所に振った時に、ファインダー内で明度調整して
ちょうど見やすい感じに変えてくるのがすごく鬱陶しい。
手振れ補正なんて、スポーツだとほぼ意味無いです。被写体ブレの方が深刻なので。
某メーカーのミラーレスフラッグシップ機なんて
「スポーツでも使える」とか「一眼レフを超えた」とか言ってますけどね
プロのスポーツカメラマンがこういう機材を使うわけないです。
またX-H1に関してはバッテリー持ちも悪かったです。
グリップも買ってバッテリー3個内蔵で挑んだんですが、普段の2/3くらい撮影した時点で
バッテリーは残り僅かでした。
D5なら1個フル充電してくれば、この倍撮ってもまだ半分はゆうに残っている。
比べるのがおかしいと言われればそれまでだが、あくまで基準は
「私の使い方」なので仕方ない。
で、思ったわけです。
「ミラーレスは、スポーツ撮影では、例えサブであったとしても使えない」
少なくともEVFが今より格段に進化しないと。
ということでZ7の予約もキャンセル!(一応スポーツ時のサブでも使いたかった)
※ ただし、この後ニコンのファンミーティングでZ7のファインダーが
かなり良くて、ミラーレスの最新最高クラスはここまで進化してるんだなーと驚いた。
ちなみによく言われる「ミラーレスは小型・軽量」理論ですが
X-H1はAPS-Cミラーレスでは最大クラス、フルサイズの小型機よりデカいだけあって
全然その恩恵は感じませんでした。
そもそも望遠の明るいレンズは物理的に小さく作れないので
結局スポーツで使うなら、カメラが小さくてもバランス悪くなるだけなんで。
APS-C専用設計のレンズでも50-140はこのサイズで重さもそれなり。
さて、そんなわけでもはやスポーツに持っていくことは二度とないであろう
哀れなX-H1なんですが、いざそう割り切ってみると、意外と良いんですよね。
50-140mmはスポーツ用途に選んだレンズだったので
とりあえず日常使いや屋内使用前提で、広角もあった方が面白そう
ということでXF14mmF2.8 Rも買ってたんですが、これがまたいい感じ。
換算21mmなのでかなり広角なんですが、歪みまくるわけでもなく
グイっと寄って撮れるので、屋外でも屋内でも普段と違った視点で楽しめます。
X-H1は3軸チルト液晶なのでローアングル・ハイアングル、そして縦ローと
色んなアングルでも撮りやすくて楽しいです。
X100Fで十分体感してましたが、高感度でなければ画質も十分ですし。
というわけで、50-140を下取りに出して、マクロか中望遠の明るいレンズでも買い足すと
けっこう幅広く楽しめる気もしますが、これ以上このシステムにお金をかけるかどうか
そこは悩みどころですね。
長々と書いた割に結論はこんな感じですが
決してX-H1をダメな子だとか、ミラーレスは使えないとか言ってる話では無いです。
スポーツ撮影ってカメラの中でも特殊な用途なんだなーと改めて実感しました。
そして、ミラーレスの進化はすごいけど、そのベクトルとしては
今の時点ではスポーツでバリバリ使える、とは言えないのは事実です。
ミラーレスの利点もいくつかあるのは事実で
それが用途にマッチしている人なら、きっと恩恵にあずかって
ミラーレス最高!ってなるはずなので、自分の用途をよく考えて機材を選びましょう。
ってな話でした。
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